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お知らせ

アンチエイジング社との訴訟の判決に関するお知らせ

この度令和4年7月19日付で、予てより争っておりました当社及びアンチエイジング株式会社間の全事件に関する判決が言い渡されました。
今回の判決では、当社の主張が概ね正当であることが認定されるとともに、当社金を「解雇」した事実はなく、その旨の告知は不法行為であるとの認定、アンチエイジング社の取扱製品につき、その品質に関する具体的事実(GLP検査9項目実施の有無)について、誤認させる表示(品質誤認表示)がされたとの認定、CELLINBIO社(以下CIB社)の「主要な研究員が辞めた」「大きな問題」が生じた云々の各告知が、虚偽であるとの認定など、当社およびCIB社の営業上の信用や名誉に関する複数の重要な事実認定がされ確定しました。
本件訴訟の争点、経過、及び、結果は、当社や当社役員らの名誉・信用、並びに、CIB社の名誉や信用にも深くかかわる内容を含むところ、これに関して、裁判所が複数の重要な認定を致しました。
よって、本件訴訟の経過と結果については、当社の事業、赤木、金らの名誉、信用の回復、また、化粧品業界のためにも、公にした方が望ましいと判断致し、本件の詳細について、報告させていただきます。

 

1.初めに

バイオトレーディング株式会社(代表取締役:赤木直義(以下、「赤木」))(以下、「当社」)並びに当社に属する赤木、金清文(以下、「金」)は、アンチエイジング株式会社(以下、「アンチエイジング社」といいます)との間で、主に相互の信用毀損や不正競争行為に関して、以下の提訴案件を抱えておりました。

1.金のアンチエイジング社に対する損害賠償請求―アンチエイジング社が、金を「背任行為で解雇した」等の虚偽の事実を広く流布したことによる損害賠償請求訴訟(令和元年(ワ)第17208号)

2.当社のアンチエイジング社に対する損害賠償請求―(1)当社が取り扱うCELLINBIO Co.,ltd.(以下、CIB社)製品について、アンチエイジング社がその評価を貶めるような信用毀損行為をしたこと、及び、(2)CIB製品の韓国における特許権を侵害している製品を、アンチエイジング社がそうと知りながら販売していること、(3)アンチエイジング社が、その取り扱うRB社製品の品質について、顧客を誤認させるような宣伝を行ったこと、等を理由とする損害賠償請求訴訟(令和元年(ワ)第32867号)

3.赤木のアンチエイジング社に対する未払業務委託料の支払請求訴訟(令和元年(ワ)第31498号)

4.アンチエイジング社の当社、金、赤木に対する損害賠償請求―当社、金、赤木がアンチエイジング社の顧客を奪取したこと、CIB社との独占契約を切るよう「働きかけ」をしたこと等を理由とする1億6000万円超の損害賠償請求訴訟(令和元年(ワ)第27334号)

 

以上の各事件は、令和4年7月19日付で、全事件に関する判決が言い渡され、確定しました。

本件訴訟の争点、経過、及び、結果は、当社や当社役員らの名誉・信用、並びに、CIB社の名誉や信用にも深くかかわる内容を含むところ、これに関して、裁判所が複数の重要な認定を致しました。よって、本件訴訟の経過と結果については、当社の事業に関する信用や、赤木、金らの名誉、信用の回復のため、また、化粧品業界のためにも、公にした方が望ましいと判断致しました。

つきましては、下記の通り、本件の詳細について、報告いたします。

2.訴訟に至る経緯

平成24年8月8日から平成31年4月9日まで、アンチエイジング社は、CIB社の日本国内唯一の独占販売業者でした。

しかし、アンチエイジング社は、CIB社の社長であったイドンヒ氏が同社を退社し、同氏、平成30年11月に設立した、CIB社の競合会社であるREMYBIO Co.,ltd.(以下RB社)を設立したことを契機として、同社との契約上の義務に反し、RB社から、平成31年1月7日、同社製品「SC-MAX5.2」と全く同一成分であると謳う「Remystem-1」なる製品を購入し、これに「SC-MAX5.2」の名称を付して、既存取引先へ販売・納品しようとしました。

当時、アンチエイジング社に在籍していた金は、RB社からの類似品輸入には社内において強く反対していたにも関わらず、結局、RB社から競合品輸入を断行したことを知って衝撃を受けて退職を決意し、同年2月末日に退職しました。同じく、当時、アンチエイジング社の取締役であった赤木も、同じくRB社からの輸入に反対しておりましたが、輸入の事実等を受け、同じ時期に取締役退任、退社しました。

つまり、アンチエイジング社は、CIB社との間で独占契約を結んでいるにも関わらず、これに違反して競合品を仕入れたため、CIB社から契約解除や損害賠償請求を受けてもおかしくない立場となりました。

これらの状況から、金は、取引先の影響等市場の混乱を危惧し、自身の立場を憚らずCIB社へこの事実を伝えました。その後、金は、同じくアンチエイジング社を退社した赤木と共に、市場の混乱を抑え、なおかつ、CIB社製品を望むお取引先様に間違いなく同社製品をお届出来るよう、CIB社の依頼の下、当社を設立し、既存のCIB社製品を購入されていた顧客への説明を開始しました。

同時期、CIB社は、アンチエイジング社の複数の契約違反を受け、同社との契約を契約違反を理由に解除し、当社との取引を開始しました。

この動きに対し、アンチエイジング社は、当社の説明行為等を営業妨害行為等であるとして警告文を発しました。

一方で、同社は、金を「背信行為により解雇した」(後述のとおり、事実は退社であり、解雇ではありません)、「CIB社の主要研究員が辞任した事で、同社製品の今後の品質の維持に大きな問題が生じた」という趣旨の、事実と異なる情報を、メールやSNS等を用いて幅広く流布しました。

このような応酬を経て、両当事者が提訴し、訴訟へと至りました。

 

3.訴訟において争点となった内容等

金や赤木が、RB社からの輸入に反対していた理由は複数あります。この「理由」は、裁判でも主要な争点となりましたため、ご説明いたします。

(1)「GLP検査9項目実施済み」の宣伝の真偽

1つ目は安全性担保資料の具備の問題です。既存のお取引先様はよくご存じのとおり、CIB社製のヒト幹細胞培養液は、韓国の食品医薬品安全処が定める、GLP検査9項目を実施した高度の安全性担保資料を備えておりました。同検査には試験の期間が必須であり、少なくとも半年程度の時間がかかります。ところが、アンチエイジング社は、平成30年11月に設立されたばかりのRB社が提供する、「Remystem-1」及び、これに含まれるヒト幹細胞培養液「Remystem」を、RB社設立のわずか2か月後である平成31年1月に購入しました。

これは、CIB社が本来備えていた「GLP検査9項目」に関する安全性担保資料と同じ水準のものを、RB社が備えないうちに(つまり検査を完了しないうちに)買い揃え、これを取引先に納品することを意味します。これは安全性担保の面で大いに問題があるだけでなく、CIB社製品が高度の安全性担保資料を具備していたことを信頼して購入していた取引先様を裏切ることとなります。

しかし、アンチエイジング社は、RB社製のヒト幹細胞培養液「Remystem」について、「GLP検査9項目」を実施していない時期があるにもかかわらず、実際に検査を実施し完了するまでの約1年7カ月の間、各宣伝媒体において、「Remystem」が「GLP検査9項目」を実施済みであるとの虚偽の宣伝広告を行い続けました。

しかし、同社は、これは「虚偽」ではないと訴訟において言い張りましたため、GLP検査実施の有無等が争点となりました(これに対する判決は後述3の(1))。

(2)特許権侵害

RB社からの輸入に反対した理由の二つ目は、特許権侵害の問題です。

すなわち、CIB社製の「SC-MAX5.2」には、CIB社が韓国内で特許権を有する「PROLIPHIL-F4」(成分名:カプリロイルジペプチド-17)、及び、「VITA-HA」(成分名:ヒアルロン酸アスコルビルプロピル)が含まれています。よって、RB社が一から「SC-MAX5.2」と同じ「Remystem-1」を製造することはできないため、同製品に含まれる特許成分をどのように入手ないし調達したのか、大いに疑義がある状況でした。当社は、この点においても、真実を明らかにするため、訴訟において、特許権侵害の有無について敢えて争点に加えて、大いに追及しました。

しかし、アンチエイジング社は、特許成分の入手経緯(本当に特許権侵害をしていないのであれば、特許成分の正統な入手経路を客観的な資料とともに明かすのは極めて容易だったはずです)につき、その入手量や入手時期の矛盾等(すでにRB社から輸入しているのに、それより前の時期に、RB社による特許成分の正当な入手経路を立証できない、取引先に販売した量より、正当なルートでの特許成分の入手量が少なすぎる)について、ついに説明ができなくなり、最終的に、CIB社の特許権は日本には及ばないため、RB社による特許権侵害の有無は「争点ではない」との理由で、RB社が特許成分をどのように入手したかについて、最終的に説明を放棄してしまいました。

しかし、RB社もCIB社も韓国の会社ですので、RB社が韓国で特許成分の製造や入手をした時点で、韓国における特許権侵害の問題が生じます。アンチエイジング社は、上記のような弁解を述べて、韓国でも特許権を侵害していない、という反証をできませんでした。

(3)CIB社との契約違反について

RB社からの輸入に反対した理由の三つ目は、CIB社との契約違反の問題です。

すなわち、アンチエイジング社はCIB社と独占契約を結んでおりましたため、類似製品の製造等が契約上禁じられておりました。しかし、RB社からの輸入は、この独占契約に違反し、CIB社を裏切ることになります。

この契約違反の事実については、野中前社長も、現在の社長である牛島美樹氏も、訴訟で提出した陳述書において、明確に契約違反を自覚していた旨、述べておりました。

(4)その他―信用毀損

その他、金氏が受けた名誉毀損や、当社およびCIB社が受けた信用毀損の有無等も、争点となりました。

 

4.判決で認定された重要な事実認定

上記1の各訴訟は、令和4年7月19日付で判決がなされました。そして間もなく、アンチエイジング社が、判決で支払を命じられた全額(遅延損害金含む)を、赤木と金に全額支払う形で、判決は決着し、そのまま確定しました。

訴訟では、以下のとおり、重要な事実認定が複数されましたので、ご説明いたします。

(1)GLP検査9項目について

前述2の(1)のとおり、アンチエイジング社は、安全性に関わるGLP検査9項目を実施していないにも関わらず、「GLP検査をパスしている」との話を掲載、宣伝し、品質に関する具体的事実について誤認させる表示を、約1年7カ月の間(平成31年4月頃~令和2年11月頃)、行った上、これは「虚偽」ではないと主張しました。しかし、裁判所はこのアンチエイジング社の主張を排斥し、同社の「GLP検査9項目実施済み」という趣旨の宣伝行為は、不正競争防止法第2条1項20号が禁止する「品質誤認表示」であると認定しました(判決文54頁)。

なお、不正の目的をもって品質誤認表示を行った者、又は、製品の品質を誤認させるような虚偽の表示を行った者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処せられます(不正競争防止21条2項1号、同項5号)。アンチエイジング社の行為は、これらにも該当すると考えますので、当社は同行為にかかる告発を検討、準備しております。

もし、本ご報告をご覧の方の中で、平成31年4月から令和2年11月までの間、「Remystem」や「Remystem-1」について、「GLP検査9項目」実施済みの製品であると誤信して購入されてしまったお客様がいらっしゃいましたら、この点、当社にご連絡・ご通知いただきたく思います。詳しいご説明や対応策等について、誠実にご協議、ご提案させていただきます。

(2)CIB社の「主要な研究員が辞めた」等の流布行為について

アンチエイジング社は、CIB社に関して、「李博士が退社すると同時に主要な研究員は同社を退社してしまいました」、「主要研究員が抜けてしまったことからその品質がいつまで維持できるのかという大きな問題が持ち上がってきました」という文章を、野中前社長のFacebook上でアップし、取引先等に広く告知しました。

しかし、幹細胞培養液の品質確保に支障が出る程度に主要な研究員が退社してしまったとの事実はありませんでした。

判決も、当社の客観的事実に基づく立証を受け入れ、上記告知は「虚偽」であると認定しました(判決文51~52頁)。

(3)当社が事実無根の中傷をして営業妨害を繰り広げているとの告知について

アンチエイジング社は、当社が、アンチエイジング社に対し、事実無根の中傷をして被告の営業妨害を繰り広げているとの趣旨の文書を、広く取引先に配布しました。しかし、このアンチエイジング社の告知も、「虚偽」であると認められました(判決文52~53頁)。

(4)金を「背任行為で解雇した」との告知について

アンチエイジング社は、上記(3)と同じ文書において、金は実際には退職であったにもかかわらず、「背任行為により解雇した」との虚偽事実を広く流布しました。一方でアンチエイジング社は、金は、同社がRB社からCIB社の類似製品を仕入れた際、社内で相談せずにその事実をCIB社に報告等したことが「背任」であるとして、その責任を否定しました。

これにつき、判決は、金が、アンチエイジング社の社員であった立場上、社内で諮ることをせず、同社がCIB社の類似品を仕入れたとの情報をCIB社担当者へ伝えたことは、アンチエイジング社に対する義務違反であったと言うべきではあるものの、解雇の事実は無く、従って背任を理由として解雇したと言う事実も虚偽であり、金の社会的評価を低下させる不法行為であると認定し、金の損害賠償請求を認めました(判決文34~35頁)。

金のCIB社への報告行為がアンチエイジング社に対する義務違反であったという点は、当人としては不本意な点もございますが、当時の状況としては、私が所属していた会社の利益よりも、正当な製品が、本当にこれを必要とされているお客様に流通されるのを確保すること、ひいては化粧品業界の保護、という公益に沿った信念を優先していましたので、内部告発に準ずるものとして、致し方なかったものと考えております。

(5)RB社による特許権侵害の可能性について

次に、特許権侵害については、前記2の(2)のとおり、アンチエイジング社が、特許権侵害をしていないクリーンな製品を販売しているという反証を、「争点ではない」等の理由で最終的に放棄し、資料の提供等もしなかったため、完全な真相究明には至りませんでしたが、特許成分の入手に関するアンチエイジング社の説明には種々の矛盾や変遷があったこと、及び、最終的に特許権侵害をしていない事を論証できなかったこと、の二つの事実を残すことができました。

通常、特許成分を取り扱う会社が、自社の取り扱う特許成分について、特許権を侵害していないことをきちんと論証、説明できないというのは、由々しき事態です。

判決も、「RB社が当該成分【注:カプリロイルジペプチド-17及びヒアルロン酸アスコルビルプロピル】について特許権侵害をしていることについて、その可能性があるという限度では真実である」とまで認定しました(39頁)。

訴訟では、当社が敢えて特許権侵害の有無を問うため、これを争点に入れましたが、アンチエイジング社は、韓国における特許権侵害の有無は「争点ではない」と言い張って、最後までの究明はできませんでした。

しかし、いくら訴訟で争点にならずとも、各取引先様におかれましては、特許権侵害がされているかどうかは極めて重要な事実関係であると思いますので、「RB社が当該成分について特許権侵害をしていることについて、その可能性があるという限度では真実である」とまで認定された事実につき、ご留意いただきたく思います。

 

5.判決に基づく全額支払い、確定

アンチエイジング社は、判決で命じられた内容に基づき、赤木及び金に対し合計36万4971円を弁済し、判決はそのまま確定しました。

なお、アンチエイジング社は、当社、赤木、金に対し、1億6000万円余りの損害賠償請求を対抗して提訴しましたが、結果的に全額棄却されました。また、同請求について、訴訟費用の全額を自ら負担するものとされました。

 

6.当社コメント

裁判は3年と長期に渡りましたが、本件訴訟の決着により、当初からの当社の主張が概ね正当であることが認定されるとともに、金を「解雇」した事実はなく、その旨の告知は不法行為であるとの認定、アンチエイジング社の取扱製品につき、その品質に関する具体的事実(GLP検査9項目実施の有無)について、誤認させる表示(品質誤認表示)がされたとの認定、CIB社の「主要な研究員が辞めた」「大きな問題」が生じた云々の各告知が、虚偽であるとの認定など、当社およびCIB社の営業上の信用や名誉に関する複数の重要な事実認定がされました。

また、特許権侵害の「可能性がある」との点は事実であるとの認定なども、取引先様にとっては非常に重要な認定と思われます。

しかしながら、明確に「品質誤認表示」や「虚偽」と認定された事実認定と異なり、特許成分の入手経路に関しては、アンチエイジング社の主張が二転三転したり、大事な部分の説明がない等により、直接的な認定まではされず、「可能性」にとどまる不明瞭な認定部分もございます。

よって、今後も、当社パートナーシップ企業であるCIB社と共に可能な調査等を行い、今後の対応方針を協議、模索して参ります。

当社及びCIB社は、今後も安全性及び透明性の高いエビデンスを基にしたヒト幹細胞培養液原料と、特許原料を広めて参る所存です。

以上

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